November 19, 2005

Herbie Hancock

"LITE ME UP" 1982


LiteMeUpジャンル、カテゴリー分け等という概念が、音楽にとって如何に小さなことか。
Herbie Hancockを語るとき、評論する者とプレイヤーの視線高さの違いが浮き彫りになる気がします。
モダン、コンテンポラリージャズはもとより、自らのモードを編み出し、クラシックを奏で、ソウル、ファンクをも愛するHerbie Hancockの姿勢に、音楽に生きる者の懐の深さを感じます。また同時に、人をそこまで惹きつけてしまう音楽の魔力に感銘すら覚えます。
私のお薦めは同氏の活動としてはとってもポップな"LITE ME UP"。
しかしながらこのアルバム、TVコマーシャル活用もあり、モダン、コンテンポラリージャズファンの一部からは、酷評を受けたアルバムでもあります。
確かに、ある一方向から見ればそうなのかも知れません。しかしながら、同氏の音楽と戯れるかのような「音楽をありのままに愛する姿勢」を知れば、このアルバムに対する保守的批評に矮小さも見え隠れするというもの。単なる商業音楽かどうか・・・それは聴いてみてご判断ください。


"HERBIE HANCOCK - Lite Me Up!"



特筆したいのは集まったメンバーのカラフルさ。プロデューサーHerbie Hancockの手腕が光ると同時に、同氏の信頼関係がうかがえます。
特にQuincyの右腕であったHeatwaveのキーボード奏者Rod Tempertonの起用は大当たり。
HeatwaveはAWBのページでもご紹介しましたが、グルーヴ的には弱さがあるものの和声には光るものがあり、それを支えたのがRod Tempertonでした。
その秀逸さはこの頃手がけた曲を見ればわかります。
たとえば、
"Mystery","Spice Of Life" - Manhattan Transfer
"Off The Wall","Baby Be Mine","Rock With You" - Michael Jackson
"Give Me The Night","Love X Love" - George Benson
"Stomp" - Brothers Johnson
"Boogie Nights","Groove Line" - Heatwave
これらのビッグヒットはRod Tempertonの手によるものです。
特にMichael Jacksonの"Off The Wall","Thriller"までの「ロック風味が出る前」のお洒落な曲に彼のセンスが光っています。

余談ですが"Love X Love"でのGeorge Bensonのオクターヴ奏法はWes Montgomeryへの単なるオマージュ以上のものを感じます。
ギターの音色も素晴らしく、小さなボディーながら力量のあるアイバニーズがフルに胴鳴しています。メロディーは言うに及ばず親指独特の甘いサウンドやカットセンスが心憎い名演です。
Rod Tempertonは"LITE ME UP"にRhythm and Vocal Arrangementで参加していますが、音への影響はそれで十分出ています。
また、ホーンセクションにはJohn Robinson(元Rufus)、Louis Johnson(元Brothers Johnson)、Jerry Hey,Larry Williams(Seawind)のクレジットがあります。
これらのミュージシャンがHerbie Hancockを信頼して集まったのです。その事ですべてが語れそうにも思えますね。
「音」が「楽しい」と書いて音楽です。本来自由奔放であるべき創作分野に、変ながんじがらめの概念が入り込んで、音楽が「音苦」になったりするのは望むところではありません。
冒頭にも書きましたが、所詮評論とは、既に存在するものに依存することで初めて成り立つものですから、それ自身は何をも客体化する力を有してはいません。故に評論家は論戦に走り易く、立場を守らねばならない局面に追い込まれ易い存在なのかも知れませんね。

保身を考えるのは一部のサラリーマンに任せて、クリエイターは視線を高く、遠くを見据えていたいと思います。
そんなこと言われなくても根っからそうしている人達が、所謂天才と呼ばれる面々なんだと思います。
Herbie HancockやStevieは、まさにそうなんだろうな。


Lite Me Up
The Bomb
Getin' To The Good Part
Paradise
Can't Hide Your Love
The Fun Tracks
Motor Mouth
Give It Your Heart


Musicians
Lead Vocal:Wayne Anthony, Herbie Hancock
Vocoder Vocals:Herbie Hancock, Patrice Rushen
Drums:John Robinson, Jeff Porcaro, Narada Michael Walden
Bass:Louis Johnson, Abe Laboriel, Randy Jackson
Guitar:David Williams, Steve Lukather, Jay Graydon, Carrad Rustici
Keyboards:Herbie Hancock
Acoustic Piano:David Foster
Synthesizer:Herbie Hancock, Michael Boddicker, Frank Martin
Horns:Jerry Hey, The Dr.Negroidal, Chuck Findley, Bill Reichenbach, Gary Herbig, Larry Williams
Horn Arrangement:Jerry Hey
Rhythm and Vocal Arrangement:Rod Temperton
Background Vocals:Patti Austin, Paulette McWilliams, Bill Champlin, Richard Page, Vennete Gloud, David Foster
Jim Gilstrap, John Lehman, Edi Lehman, Sheri Payne, Linda Lawrence
Producer : Herbie Hancock (*:Jay Graydon, **:Narada Michael Walden)

Possibilities

Maiden Voyage

Sunlight

Speak Like a Child (CCCD)

Magic Windows




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proue335uriuri at 20:02│Comments(0)from the Early 80's | Contemporary R&B

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