December 05, 2005

Kate Bush

"Hounds of Love" 1985


katebush"Running up That Hill"
(A Deal With God)
この曲を掲載させてください。
ブラコンファンならわかってくれると思う。
この曲は外せないんです。
これは楽曲、音作り双方にアーティストの自己との対峙が深く刻まれた名作です。
この頃のKate Bushはビッグヒットを放つタイプではありませんでした。でもこの曲は違いました。
さんまの空騒ぎのオープニング"Wuthering Heights"などは別として、この人は一般性のある曲はまず書かないと思います。歌詞にもエキセントリックなものが多々あり、この人の持つ方向性の特異さが表れていると思います。
”氷の下、うごめくものが・・、私、私”・・・。"Under Ice"

しかしながら"Running up That Hill"はリリースと同時に全英トップに躍り出ました。曲が素晴らしかったので当然といえばそれまでですが、この出来事に驚きを感じた人は多かったと思います。
曲を聴けばわかりますが、自己内面を深くえぐるタイプのアーティストが、歴史に根ざした宗教観のあるイギリスという国で、神に対する恨みともいえる内容を強烈に歌い上げ、それに世代が共感し、評価したのです。かつてジョンの"God"を放送禁止にした国での出来事です。
これは単なるヒットとは呼べない変化でした。

"Running up That Hill"を聴いて、まず音作りに衝撃を受けました。不穏なストリングスを追いかけて強烈なドラムが始まり、どこか有機的な音色(愛犬鳴き声サンプリング)が広大な和音の中を走る様子には、嵐に匹敵する力強さを感じます。低く流れる灰色の雲が見えるように思えます。

この風景には枯れ木があるように思えるんですけどね・・・。
この曲を表現するのに、言語のもどかしさを払拭し切れません。
無理だねこれは。とにかく一度聴いてください。
"Running up That Hill"


"Kate Bush Running Up That Hill (A Deal with God)"


"Kate Bush - Running Up That Hill - Official Music Video"


"Kate Bush & David Gilmour - Running up that Hill - Live SPB"



嵐が丘(初回限定盤)
"Running up That Hill"を聴いてのイメージは、川井郁子”嵐が丘”のアルバムジャケットのような感じがします。こちらはクラシックですけど、女性のオーガニックなパワーにはある種共通性を感じます。
さんまの空騒ぎのオープニング"Wuthering Heights"も”嵐が丘”ですけど、こちらのネーミングは英国小説からの転用。

私は歌詞で曲を聴きませんが、この曲は音作りの強烈さから入って歌詞に興味を持ちました。追い詰められた感のある詩なので参考に書き出してみます。
”できるならあの丘を駆け上がり、神と取引し、彼を私の立場に立たせてやりたい・・・”
・・・ふむふむ、相当長きに亘り苦悩してらっしゃる。
”弾丸がどれほど深く刺さっているか、わかる?”
のところでは、無用なおせっかいにもかかわらず、何とかしてやりたいと思ってしまう。
・・・冗談入りましたが、
曲終盤では”さあ互いの体験を交換しよう”というくだりで、雷鳴の如く強烈なサウンドが響き渡り、そこで閃光のように「曲テーマ」が理解されるように思えます。
かなり強烈。これは女性の為せる業でしょう。

20世紀の名曲は・・・と訊かれたら、答えの中にこの曲を含めるでしょうね。
彼女は心が不安定なところがあり、このアルバム制作前に一時精神的に塞ぎ込んだ時期があるそうです。その間、スタジオで愛犬と戯れたりしながら「音楽」に対して長く向き合ったそうです。
Fairlightでサンプリングし、その音作りからインスパイアされて曲を創っていったところもあるとか・・・。

更なるお薦め曲は、タイトル曲"Hounds of Love"
このアルバムにはリズムが前面に出る曲が比較的多いです。"Running up That Hill"も"Hounds of Love"もそうです。ですので音楽的には聴き易いアルバムかも知れません。
但しこの曲も、歌詞内容は飛んでいて、彼女の世界がいっぱい。曲の冒頭には「林の中に居る、こっちに来るぞ!」という男性のラジオヴォイスが入っていて、やはりエキセントリックさが満開です。

"Kate Bush Hounds of Love"


"Kate Bush HOL 02 Hounds Of Love"



彼女の作品には彼女個人体験による性的メタファーを強く感じます。
この方向性の女性は確かに居られると思いますが、ばかな男としては、そんなに自分を追い込まなくても・・と思うものなのです。この溝は埋まりそうにないですね。
オフィシャルHPはこちら⇒Kate Bush


静かなアルバムです。前作から干支が一周しました。
Aerial

The Hounds of Love (+6 Bonus Track)

多分万人のお薦め
Hounds of Love

The Sensual World

Kateは綺麗で、ちょっとあっちに行ってます
この系統の人の場合、
「綺麗」と「あっち」は正比例する部分もあると思う
The Dreaming

さんまの空騒ぎ"Wuthering Heights"収録
The Kick Inside

"Symphony in Blue"が美しい
Lionheart

やっぱり綺麗
ベスト盤です
Whole Story




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proue335uriuri at 01:04│Comments(0)from the Late 80's | Public Culture

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1. 企画賞 Ballads  [ 日々の泡 ]   December 06, 2005 20:37
Ballads / 和田アキラ Ballads / John Coltrane

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